日本語の「考える」「思う」「感じる」「したい」
日本語で自分の意見を言う時の「考える」と「思う」の大きな違いを簡単にいうと、「考える」の方は「これまでの知識や経験を思いめぐらせた上で分析する」という意味になり、「思う」の方がより「直感的な感覚や判断」ということができます。
また、「思う」の感情に近いものとして「感じる」や「したい」など、さまざまな表現があります。
中国語もさまざまな表現がありますが、日本語とは感覚が微妙に違う部分を感じていますので、まとめてみます。
もちろん、人によって感覚が異なりますので「これが正解」というものではありませんが、ひとつの参考となれば嬉しいです。
中国語の「考える」「思う」は 主観的か?・口語か? が使い分けの判断基準
口語かどうか?
はじめに、「口語かどうか?」の方は分かりやすいと思います。
話し言葉であっても、日常のチャットやメールなどでは書き言葉としても使います。
ただ、書き言葉にほぼ限定された表現もあって、論文などはその最たる例のひとつです。
主観的か?
中国語では、日本語の「考える」と「思う」ほどの明確な区別があるとはいえません。
この「主観的か?」という部分は、人によって判断が分かれるところです。
自分自身が「考える」「思う」ことは基本的に主観的なものではあるのですが、これが一般論と照らし合わせて「客観的に」みても同様かどうか、という点が使い分けの基準となります。
ちなみに、中国語で「主観的」「客観的」を表す言葉は日本語と同様です。
主观(的) [zhǔ guān (de)]
= 主観的
客观(的) [kè guān (de)]
= 客観的
中国語の「考える」「思う」に関連した動詞
中国語の「考える」「思う」に関連した動詞では、主にこのような表現があります。
- 以为* [yǐ wéi], 可能会 [kě néng huì]
- 想 [xiǎng]
- 觉得 [jué dé]
- 在看 [zài kàn], 在我看来** [zài wǒ kàn lái]
このうち、"以为"は書き言葉でも使われ、"在我看来"は書き言葉にほぼ限定された表現です。
上から下の順で、より主観的な表現になります。
客観的な表現では、
认为 [rèn wéi]
がよく用いられます。
主観的な表現では、
以为* [yǐ wéi]
可能会 [kě néng huì]
日本語にすると「~ではないかと思う」「~かと思った」という感じの表現です。
たとえば、
我以为他来教室,但是他不来。
彼は教室に来るかと思ったけど、来なかった。
などのように、あまり根拠のない場合の推測を表します。
"以为"は書き言葉でも話し言葉でも使いますが、"可能会"は同じ意味の話し言葉です。
想 [xiǎng]
いちばん一般的な「思う」に相当しますが、「考える」の意味も持ちます。
「~したい」という場合にも使われるので、使用頻度が高い動詞です。
觉得 [jué dé]
より主観的なもので、「考える」に近いと言えます。
"觉得"を使うことで、自分の考えであることを明確にできます。
在看 [zài kàn]
在我看来** [zài wǒ kàn lái]
自分の観点であることを表現する方法です。
"在我看来"は同じ意味ですが、書き言葉にほぼ限定されます。
これとは別に、SNSのタイムラインなどにある"在看"は、「見たよ」の意味となります。
考虑 [kǎo lǜ]
これ以外に"考虑" [kǎo lǜ]という動詞は、日本語の「考慮する」という意味もありますが、どちらかというと「検討する」に近い意味になります。
「検討してください」という場合に、"考虑一下"という表現になります。
また、「ちょっと考えてみる」という時に、"考虑考虑"という表現もあります。
"考虑"は、自分の考えや思いを伝える表現とは異なってきます。
中国語の「感じる」「したい」は主観的な感覚
中国語で「感じる」
日本語でも「~という感じ」「そんな感じがする」という表現があります。
「思う」よりもさらに直感的な、感覚的な表現ですね。
中国語でも
感觉 [gǎn jué]
という表現は、動詞としても名詞としても使うことができます。
我感觉很好 [wǒ gǎn jué hěn hǎo]
すごく気分がいい
我感觉好累 [wǒ gǎn jué hǎo lèi]
かなり疲れた
这样的感觉 [zhè yàng de gǎn jué]
そんな感じ
この"感觉"に近い表現で
感到 [gǎn dào]
を使う場合があります。
中国語で「したい」
中国語で「~したい」という表現は
希望 [xī wàng]
想 [xiǎng]
がよく使われます。
"希望"は、日本語の「希望」よりも軽く使うことができる言葉で、"我希望"の後に文を続けます。
先ほどの「考える」「思う」でも"想"が出てきましたが、この"想"の意味はかなり幅広いので、その後に続く言葉で意味が変わってきます。
自分の欲求という意味で、
要 [yào]
要需要* [yào xū yào]
という表現もあり、"要需要"は書き言葉です。
我要这个(东西)
これが欲しい
のように、"要"の後に名詞(物)が続くと、「その物が欲しい」という表現になります。
我要去中国
中国に行きたい
のように、"要"の後に動詞が続くと、「そのことがしたい」という表現になります。
"要"は"打算"のように「するつもり」の意味も含む
実は、"要"には「希望」だけでなく、「するつもり」という「予定」も含まれることは気をつけたいところです。
「するつもり」という「予定」を表す場合、
打算 [dǎ suàn] + 動詞
が使われますが、"要"にも同じような意味があります。
ですので、先ほどの"我要去中国"は「中国に行きたい」の意味ですが、同時に「中国に行くつもり」の意味もあるので、「中国に行きたいけど、行けない。」というような場合は、混乱する可能性があります。
"想"にも"打算"の意味が含まれる場合もありますが、多くの場合は「希望」を表します。
そのような場合、
我想去中国,但是我不能去。
と明確にする必要があります。
これは質問でも同じで、
你要不要来?
という質問は、「(こちらに)来たいですか?」というだけでなく「(こちらに)来る予定ですか?」の両方の意味を持つことになります。
※ 筆者も実際に、このような質問をされて、話がかみ合わなくなった経験があります。
中国語は文法が比較的単純な割には、漢字の持つ意味や表現方法が多い言葉です。
「文法も発音も正しいはずなのに、なぜか伝わらない」という時には、気にせず補足的な説明を続けていくことで、ちゃんと伝わるようになることも珍しくはありません。
こんな中国語の奥の深いところは、中国語学習を楽しくさせる要因のひとつと感じています。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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