英語を学習していると、"A"と"THE"の使い分けが分からなくなることがあります。


これって、日本語には一見なさそうな単語ですからね…。



英語の冠詞 A と THE は日本語にもあった | 桃太郎で簡単!


英語教師としてどのように教えるかはわからないのですが、私はいつも、日本語の"A"と"THE"に近い例として、桃太郎などの昔話を例にあげます。


逆に裏付けとして、この方法を使ってイギリス人やアメリカ人の英語ネイティブに「桃太郎」の話や日本の昔話の定番構成を説明してきています。


Kudo Masahiroさんのサイト(http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/7211/top.html)から、桃太郎の日本語と英語を引用させていただきました。

まずは日本語

「むかし、むかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。すると大きな桃が流れてきました。」


そして英語

"Long, long ago, there lived an old man and his old wife in a village. He went to the mountain to gather woods. She went to the river to wash clothes, then a big peach came floating down the river."


私は、この英訳はシンプルでありながら、自然な訳で、とても気に入りました。

最初に、「ある所に」とあります。これは英語では"in a village"(ある村に)となっています。この場所は、物語の最初に出てきて、でも特定するべき場所ではないので、"a"となっています。


そう、"A"にあたる日本語として、「ある」という言葉で置き換えられます。


次に、「おじいさん」が初登場します。これは"an old man"で、同じく"a"となっています。日本語を言い換えるとしたら「あるおじいさんと…」とすれば、意味が通ります。

その次は「おばあさん」の登場です。このおばあさんは"his old wife"として登場します。つまり、先に出てきたおじいさんの奥さんですね。だから「あるおばあさん」ではなく、"his"(彼の)として、先に出てきた「おじいさん」と関連付けられています。



もう少し先に進めます。「おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」と続きます。英訳ではそれぞれ"He"(彼)と"She"(彼女)となっています。

ここに日本語と同じ「おじいさん」と「おばあさん」という単語を充てる場合、それぞれ"The old man"と"The old wife"となるでしょう。
ここでは、さっき出てきた「おじいさん」と「おばあさん」を指しているので、あえて"The"と同じ意味の日本語に入れるとしたら、「そのおじいさん」と「そのおばあさん」となります。


それぞれが行ったところは"the mountain"と"the river"となっています。初登場の山と川ですが、"the"がついていることによって、既に紹介された、おじいさんたちが住んでいる「その村(village)」にある山と川であると推測できます。


そう、"THE"にあたる日本語として、「その」という言葉で置き換えられます。


繰り返しになりますが、次に大きな桃が初登場になります。だから"a big peach"と表現されています。どこに流れてきたかというと「おばあさんが洗濯に行った、その川」ということで"the river"となっています。

どうでしょう? なんとなく感覚としてつかめたでしょうか?

もし、英語で迷ったら、日本語で考えてみるのもよいでしょう。日本語を言い換えた場合、これは「ある」なのか「その」なのか。


"a"と"the"は、文脈によって若干ニュアンスが変わることもあります。複数ある中の一つであることを強調したい場合や一般的な話として、"a"("one"のように)をあえて入れる場合や、「これぞ」という強調する意味で"the"を使用する場合もありますが、上記の考え方さえわかれば、まずは問題ないと思います。




一般的な話としての複数形では?


では、一般的な話としての複数の場合はどうでしょうか?

例えば、「男はみんなそんなものだよ」っていう場合、「男」は不特定多数ですので、単数形である"a"は使えません。"the"にすると、上記の例のように何かのグループに属している男たちを指すように捉えられます。


この場合、「男」の複数を意味する"men"として、"a"も"the"もなくしてしまえばよいのです。

例えば、"Men are like that."のようになります。



男性向け・女性向けを表す「メンズ」や「レディース」にはTHEはつけない


服などで「メンズ」や「レディース」といいます。これらは英語でも同じで、英単語の複数形に「の」をつける形で、"men's"や"ladies' "と書き、通常、"the"は付けません。
もし、"the"をつけると「これこそ男性もの」というような意味としてとらえることができるでしょう。

こんな感覚が身についてくると、自然に"a"と"the"の使い分けができるようになってくるんじゃないかな、と思います。



長文でしたが、お読みいただきありがとうございました。


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