中国語と英語の文法を語順でもっと比較


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中国語と英語の語順に焦点を当てて、どれほど似ているかのシリーズです。



      「~の」にあたる表現


      英語では、この表現の直接的となパターンは2種類あり、”one’s”“of”にあたる表現です。

      注:ここでは語順に着目しているので、例えば”on”や”for”が、日本語の「~の」と訳される場合があることは除外します。


      英語の語順においても、日本語と同じ語順となる前者”one’s”と、逆になる後者”of”のいずれもが存在します


      ”one’s”の場合

      前者”one’s”の例は、”my book”や”her friend”, ”John’s car”といった形になり、日本語と同じ語順で、中国語でも同様となります。

      以前に紹介しましたが、中国語の場合は”my”や”her”のような変化ありませんので、”的”が日本語の「~の」を意味するものになります。

      ただ、中国語では、例えば身体の一部や肉親・家族など、非常に密接な関係がある場合には、”的”は省くのが普通です。これは英語にはない感覚です。(例: 我手, 我父母, 我家)

      my book
      我的书 (wǒ de shū)


      her friend
      她的朋友 (tā de péng yǒu)(她朋友)


      John’s car
      约翰的汽车 (yuē hàn de qìc hē) (约翰 (yuē hàn): Johnの中国語表記)



      日本語でも「~の」が特に3回以上連続すると読みづらい表現となります。
      これは中国語においても同じで、この場合には”的”を省くことで解決することがあります。
      英語では、”one’s”は通常連続して使用しません。1回のみです。


      "of"の場合


      一方、英語の”of”に相当する語順は、日本語にも中国語にも無いものといえます。(無理してできないこともないですが…)


      先ほどの例


      我的书 (私の本)を”of”を使うと
      the book of mine


      となります。


      英語では冠詞”the”(または “a”)がありますので、文脈によって単に「私の本」の意味だけではなく、前述のなにかと関連させたり、強調させたい部分を変えたりするために有効な方法です。

      参考記事: 【英語】わかりやすいAとTHEの使い分け(冠詞 aとtheの違い) | 日本語にもあった |「桃太郎」で覚えよう!


      さきほど、英語では”one’s”は通常連続して使用しません、と書きましたが、”of”を使うことで、これを守りながら文章を成立させることもできます。

      また、”of”を使うことにより文章の格式を高める場合もあります。




      中国語の”把” (bǎ)の構文


      日本語でも、英語でも、中国語でも、一文で長すぎる文章は読みづらいため、好まれません。


      あまりにも長すぎる文章は文節を区切るのですが、文章を修飾していくときの語順は英語と異なります。

      英語の場合は、通常は後ろに修飾していくので、日本人が英文読解をする時には「倒置法を使って読んでみる」ことをお勧めしています。


      最初の記事でも中国語では語順が異なる例を紹介しました。


      これに加えて、特定の目的語を修飾する場合、”把”を使うことができます。この構文も奥が深くて興味深いのですが、語順に焦点を当てていきます。


      「私はあなたにメールをお送りします。」の英語と中国語は


      I send you the email.
      给你电子邮件。 (wǒ gěi nǐ fā diàn zǐ yóu jiàn)

      给你 (gěi nǐ): give you
      发电子邮件 (fā diàn zǐ yóu jiàn): send (the) email


      のように同じ語順で表現できます


      が、中国語の"给"("give"「あげる」)と"发"("send"「送る」)という2つの動詞が、英語とは異なることにも注意してください。



      中国語では、”把”を使うことで強調が変わり、語順も変わります

      电子邮件给你


      "发"の位置に注意してください。



      目的語を修飾してみる


      それでは「私はあなたに、昨日届いたメールをお送りします。」と、メールについてもう少し具体的に修飾したい場合はどうでしょうか?

      先ほどの語順でも間違いではないのですが、メールに関する説明が長くなるため中国語として分かりづらくなります

      「昨日」("昨天”)と「受け取った」("收到了”)の位置関係にも注意してください。

      I send you the email that I received yesterday.

      给你昨天收到了的电子邮件


      そこで”把”を使うことで目的語をまとめ、文章を分かりやすくすることができます
      これは英語にはない語順で、日本語とも異なる表現です。


      昨天收到了的电子邮件给你。 (wǒ bǎ zuó tiān shōu dào le de diàn zǐ yóu jiàn fā gěi nǐ)




      ”把”が必須の例


      もうひとつだけ別の例をあげてみましょう。

      「私は中国語から英語に翻訳します。」の英語と中国語はそれぞれ


      I translate from Chinese to English.
      我把中文翻译成英文。 (wǒ bǎ zhōng wén fān yì chéng yīng wén)

      中文 (zhōng wén): Chinese
      翻译 (fān yì): translate
      成 (chéng): to
      英文 (yīng wén): English

      となります。
      この文では、”把”を使用せずには意味が成り立ちません

      さらに具体的に説明するために「私は、この文書を中国語から英語に翻訳します。」とする場合は、


      I translate this document from Chinese to English.
      我把这份文件从中文翻译成英文。 (wǒ bǎ zhè fèn wén jiàn cóng zhōng wén fān yì chéng yīng wén)

      这份文件 (zhè fèn wén jiàn): this document
      从 (cóng): from

      のように、”把”を使用すると修飾する文章が更に前方にきます




      さてこのように、英語を理解していると中国語も理解しやすい部分は確かにありますが、英語の感覚が中国語の理解を妨げることも多々あります。

      また、日本語と近い語順もあれば、全く異なることもありますので、これをパズル感覚で考えていくと楽しく思えてきます。



      どんな言語でも「慣れ」は必要になりますので、中国語を勉強している皆様が、これから楽しんで学習できますように!



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